オリンピック

パンデミックがオリンピックにもたらす影響を解説【2020年3月時点】

2020年3月11日、WHOが新型コロナウイルスをパンデミックと表現しました。

当記事では、パンデミック(新型コロナウイルス)がもたらすオリンピックへの影響、経済への影響を解説します。

また、過去に発生したパンデミック事例が与えた経済的影響についても振り返ります。

 

パンデミック(コロナ)のオリンピック開催への影響

2020年3月12日、IOCは通常開催に対する強い意欲を見せていますが、世界各国の現状を鑑みると、通常開催以外の選択肢を考慮せざるを得ない状況となっています。

では、どのような選択肢が考えられるでしょうか。

1.無観客開催

日本は世界各国よりも感染者数および死者数を比較的抑制できていることから、無観客での開催も考慮すべきですが、スポーツ選手の間でも感染は確認されてきています。

この選択をした場合の最悪のシナリオは、選手村自体がウイルスの温床となり、選手間でウイルスが蔓延してしまうことです。

また、チケット代返金希望が殺到することが予想され、組織委員会の収支に大きな影響を与えてしまいます。

2.延期

2020年秋口、または1~2年後への延期が想定されています。

年内の延期は他のスポーツイベントと開催日程が重なるケースが多く、現実的ではありません。また、その頃にパンデミックが世界全体で収束している確証もありません。

1~2年後への延期は、同じく他のスポーツイベント(2022FIFAワールドカップ等)とのオーバーブッキングが生じるおそれはありますが、年内の延期よりは時間的余裕があり、対策を考えることもできるでしょう。

3.中止

中止をした場合、オリンピック開催に携わる各所、その放送に関わる各所、そして日本経済への損害額は計り知れません。

開催側は是が非でも中止は避けたいところでしょう。

中止の場合の日本経済への経済損失は7.8兆円とも試算されています

現状、世界全体でも景気後退がみられるため、その決定により日本経済は相当の大打撃を受けることになります。

決定権をもつのはIOC

日本の組織委員会は多くの面で決定権をもたず、IOCが多くの決定権をもっています。

通常開催と上記選択肢を含め、決定するのはIOCであり、日本側はその決断を待つことしかできません。

もともと東京開催予定であったマラソン・競歩競技が、IOCの決定により札幌開催に変更された実例があります。

現在、IOCは通常開催に向けた準備を進めているとのことですが、今後の状況の変化を注視する必要があります。

決断の期限は開催の60日前つまり5月末までと決められていますので、その時期に最終決定が下されることでしょう。

 

パンデミック(コロナ)の経済への影響

地域経済(小規模事業者)への影響

日本含め世界各国で隔離政策や外出規制がなされ、地域経済へ多大な影響が出ています。

日本の地域経済を支える小規模事業者の多くは平時から資金繰りに余裕があるわけではありません。

元々余裕がないところにパンデミックによる消費冷え込みが加わり、相当苦しい資金繰り状況の事業者が数多く発生しています。

この状況が長く続けば、閉店・倒産する事業者が増加することは容易に想像できます。

政府は実質無利子・無担保の特別融資制度を創設し中小事業者支援に乗り出しましたが、はやいうちに消費冷え込みを解消しなければ長くはもちません。

感染拡大抑制と経済対策の両輪のバランスをとる難しい判断が求められます。

中国との関係性に基づく影響

中国企業はウイルスにより生産力が大幅に減衰しており、その影響は世界各国に広がっています。

部品の供給・調達の連鎖であるサプライチェーンに中国企業は密接に結びついており、その中国企業の需要と供給が減少すれば、必然的にその連鎖に連なる企業は減産せざるを得ません。

これによって世界各国の企業は生産減少とそれに伴う業績低下に直面することになり、経済は世界的な景気後退に見舞われることになります。

SARSパンデミックの際にも、類似した経済的影響が見られましたが、当時と現在では中国の世界市場における立ち位置が変化しています。

世界経済における存在感は当時より現在のほうが大きいので、現在のほうが中国産業停滞による世界経済への影響は大きいといえます。

また当時の中国は急成長フェーズであった一方、現在の中国経済は緩やかな減衰局面に入っています。

この点において危惧されるのはパンデミック克服後の経済回復局面において、SARS時のような経済回復を示すことが可能なのかということです。

つまり中国経済が十分に回復できなかった場合、日本経済にもそれが連鎖してしまうおそれがあるということです。

インバウンド減少による影響

世界全体で感染が拡大していることから、各国は他国からの入国者に対する規制を強めています。

日本でも、中国・韓国からの入国制限を実施するなど対策を進めています。

こうした状況により、日本のインバウンド(訪日外国人旅行)の多くを占めていた中国・韓国からの訪日が減少しています。

2019年のインバウンド消費額は4兆8,113億円と推計され、中国1兆7,718億円(構成比36.8%)、台湾5,506億円(同11.4%)、韓国4,209億円(同8.7%)、香港3,524億円(同7.3%)となっています。(国土交通省観光庁)。

上記のように日本の観光業は中韓からの訪日客に支えられているため、現在日本の観光業は相当厳しい状況にあります。

コロナウイルスによって2020年のインバウンド観光客数は311万人減少、消費落ち込みは約4920億円になるという試算も出ています(日本経済新聞社)。

 

過去のパンデミック事例の経済的影響

歴史上、人類が経験してきたパンデミックは複数あります。

例えば、天然痘、ペスト、結核、マラリア、エイズ、スペイン風邪、SARS、新型インフルエンザ等が挙げられます。

ペストは14世紀「黒死病」と呼ばれて主にヨーロッパで大流行し人口の大半が失われましたが、人口急減に伴い農奴解放が進み封建社会の一部変質を導きました。

1918年から流行し始めたスペイン風邪は第一次世界大戦中に流行したものであったため、戦争行為の遂行面に対する影響は多大であったものの、経済への影響は平時よりも小さいものでした。

2002~2003年に流行したSARS、2009年の新型インフルエンザは、今回の新型コロナウイルスと類似した経済面での影響がありました。

世界のサプライチェーンの停滞や外出自粛による消費の冷え込みが発生し、世界経済は後退しました。

また両者のパンデミックに際し、米国株価は1~2か月間のうちに7~10%下落し底を打ちました。

今回のコロナウイルスに際し、2月27日時点で10.3%の下落を見せていますが、WHOは3月11日にパンデミックフェーズへの引き上げを宣言しており、依然下落幅は大きくなることが想定されます(ニッセイアセットマネジメント株式会社)。

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